旅に出づらいこの時期に、旅本2冊読んだ

旅に出づらいご時世、奇しくも対照的な旅モチーフの本2冊、読みました。
「世界で一番虚無な場所」と「グレさんぽ」です。
「世界でいちばん虚無な場所」
世界で一番虚無な場所 旅行に幻滅した人のためのガイドブック ダミアン ラッド 著、菅野 楽章 翻訳
…陰鬱だったり虚無な気持ちになるような場所のことばかり書いてある本で、最後までたどり着かないまま終了しましたが、おもしろかったです。
この本に出てくる場所は、著者が一切行ったことがない・これからも行かない場所ばかりです。
地図上で見つけた虚無な地名の場所がどのような場所なのか、現地へ行かず時間軸をたどってその場所の歴史を、想像の旅をする、というようなエッセイ。
行っていないからか、とても客観的に書かれていてドライです。
若くて時間が有り余っている頃であれば、地名がおかしい場所だから行ってみよう!という旅をしてしまうようなアホでしたが、
体力と時間に制約がある年齢になってしまった今、少し気になるくらいの場所は情報収集して頭の中で消化してしまうという手法の旅で十分になってしまいました。
このご時世にはなんとマッチする旅の仕方でしょう。
しかし、旅行に幻滅はしていないから、早くどこかへ行けることを待ち望んでいます。
翻訳がすごく自然で読みやすかった!
それと、読んでいて過去引っかかっていたことと関連する情報がありました。
Airbnb を以前見たとき、ユニークな宿泊施設の中にツリーハウスや電車、ハウスボートなどの中に混じって「灯台」という項目があり、灯台??に泊まるんだ??となんとなく不思議に思いながら見ていました。
この本の中で「灯台守は不思議な知恵のある隠者」で、灯台自体も「世捨て人」や「憂鬱の感情の象徴」だとの記述がありました。
思ってもいなかった意味を知りました。
「グレさんぽ」
グレさんぽ 猫とかキモノとか京都とか グレゴリ青山 著
20代の頃からグレゴリ青山の本は欠かさず読んでいて、その割にすごく熱心な訳でもなく、
いつも出版されてしばらく経ってから何かのきっかけで見つけて入手して読んでいます。
今回は、京都やアジア、上諏訪、琵琶湖、など。
同年代の著者に勝手に友人のような感情があり、気を抜きながら、最近はこんな感じで過ごしているのね、とか、
へええ、そんなところがあるんだ、そうだねそうだね、という相槌を打ちながら、近況報告を受けたような気持ちで読み終わりました。
横溝正史の上諏訪、スケキヨの描写、スケキヨ風味のグレゴリ青山自画像の絵に吹き出してしまいました。
退廃的な物語もグレゴリ青山フィルターにかかると、ぶっと吹き出すような面白になってしまう。
また、今の旅が過去の旅と重なり奥行きが広がる感じは、好きなものの蓄積は老後の楽しみを増幅してくれるのだな、と感じました。
面白いこと・好きなもの・楽しいこと、小さいものでも積み重ねていきたいものです。
また次に近況報告を受けられることが楽しみな本でした。