「ぐっすり眠れた!」という感覚は、どのような眠りで感じられるのか?【睡眠について】

ぐっすり眠れて、朝起きた時にはすっきりしている。
そのような睡眠をとれると、次の日も元気に活動ができて、頭がスッキリして仕事や勉強の能率がはかどります。
この、「ぐっすり眠れた」「しっかり眠れた」というのは、どういう眠りのことでしょうか。
このページで言いたいことは、
「そもそも睡眠とは?」
「ぐっすり寝られている感は、深い眠りがしっかり出現する睡眠によってもたらされる」
「眠りには個性がある。自分の眠りの個性を理解しよう」
ということです。
睡眠の効果
1日の中で休息と活動のリズムがあり、睡眠はそのリズムの中で脳と身体を休ませる効果があります。
良好な睡眠がとれると、日中の作業効率が回復されます。
大脳が十分休息し、日中にしっかり起きていられて、仕事の能率があがり、余計なことにイライラしたりせず、元気に活動ができ、生活の質がアップします。
睡眠の質と関係がある、一晩の睡眠サイクル「レム睡眠とノンレム睡眠」
一晩の睡眠の中にも、浅い眠りから深い眠りへ、また浅い眠りへ、というように、波があります。
この波を構成するのが、レム睡眠とノンレム睡眠です。
レム睡眠
レム睡眠は、身体を休ませ、筋肉の緊張を解いて身体を動かせられない状態にします。
反面、この時脳は眠っていない状態に近く、鮮明な夢を見ているのは大抵この時です。
レム睡眠中に身体がしているのは、身体を休める他に、記憶の定着、技能・語学の習熟です。
ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は、大脳を休ませて回復させる、進化した生物の眠りです。
成人では睡眠時間全体の約75~80%を占め、浅い眠りから深い眠り(熟睡)まで4段階に分けることができます。
眠りが深くなるにつれ、心拍が下がって、呼吸が深くなります。
ノンレム睡眠中に身体がしているのは、身体組織の修復、成長ホルモンの分泌、エネルギーの節約、免疫機能の増強です。
一晩の中でノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返している
ノンレム睡眠とレム睡眠が1.5時間単位で何回か繰り返され、一晩の睡眠を構成します。
最初の2単位(約3時間)の間に、熟睡の状態(ノンレム睡眠のステージ3,4)がまとめて出現し、以降の単位経過とともにレム睡眠の時間がだんだんと長くなり浅い眠りに移行していきます。
ノンレム睡眠には鎮静化の、レム睡眠には活性化の働きがあり、睡眠の最初の段階では鎮静し、だんだんと活性化して朝の目覚めに繋がります。
ノンレム−レム睡眠が一巡りするサイクルを睡眠一単位とすると、睡眠一単位が終了する1.5時間に合わせて起床するようにすれば、目覚めの気分がよくなります。
睡眠が経過する様子を表した図は以下を参照して見てください。
一晩の睡眠経過 ー 社会保険出版社 http://www.shaho-net.co.jp/suimin/03/images/img03.gif
ヒトの体内時計は25時間「概日リズム」
地球での1日は24時間で構成されています。
しかし、ヒトの体内時計は1サイクル25時間に近いと言われています。
個々人により個性がありすべての人が同じではないものの、だいたい24~25時間の間です。
外界と人間はの1日サイクルには時差があるため、放っておけばどんどんずれていってしまいます。
このズレがなく暮らしているのは、朝の光、食事の時間、出勤する時間、など、外からの刺激によって、無意識のうちに体内時計をリセットしているから。
「規則正しい生活」が大切なのは、このような身体の仕組みから言えることなのです。
睡眠不足を補おうとする「ホメオスタシス」
生物には、身体の内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする性質があり、このことを「ホメオスタシス」または「恒常性」といいます。
体温、血圧、傷の修復などその影響は身体の機能全般に及び、睡眠に対しては不足したら補おうという働きをします。
起きている時間が長く睡眠不足になったとき、不足量に応じて睡眠が質・量ともに変化し、その日の夜の早い睡眠サイクルで深い眠りが多量に出現し、不足分を質で補います。
睡眠の質と量を決定するのは、起きている時間の長さというわけです。
他、睡眠に関わる要素
前の項目までは、睡眠の仕組みに関わる事柄を説明してきました。
他にも、睡眠に関わる要素はたくさんあります。
睡眠を引き起こしたり維持させる多種多様な「睡眠物質」、年齢による違い、男女差、個人差などなど。
個人の生まれ持つ資質やステージにより、睡眠の質・量は一様ではありません。
睡眠にも個性がある。自分の個性を理解することで、悩む気持ちが少し和らぐかもしれません。
以下のテーマで後日更新します。
女性と眠り
小児・学生の眠り
加齢と眠り
季節と眠り
必要な睡眠時間について
今日の内容からわかったこと
「ぐっすり眠れた」という質の良い睡眠は、いかにノンレム睡眠を深くとれたかが関係する
→ 深い眠りは前半に現れる。深い質のよい眠りは、起きている時間の長さに依存する。
睡眠の質・量を決定しているのは起きている時間の長さ
→ 夜ぐっすり眠るためには、昼寝しすぎないこと。
外界の1日は24時間、体内時計は1日25時間
→ ズレを合わせるためには「規則正しい生活」が大切!