不眠にも種類がある【不眠症について】

不眠症とは、眠れない・よく眠れない状態が1ヶ月以上続き、日中に眠気が現れる、疲労感、イライラ、集中力低下など、様々な体調不良が起こる状態のことです。
夜に眠れない不眠症の症状は一般成人の約 20~40%が、夜の不眠症状と日中の生活の質( Quality Of Life, QOL)の低下を伴う症状は約10~15%の人が自覚しています。(厚労省「健康づくりのための睡眠指針2014」の参考資料より)
この「眠れない」という状態にも種類があります。
このページで言いたいことは、
「不眠症にも、眠りの時間・深さによって、分類がある」
「不眠の原因は、多岐にわたる」
「鍼灸でサポートできる不眠がある」
不眠症の分類
睡眠のどの時点で眠れない状態が発生するかにより、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒に分けられます。
- 入眠障害 … 寝入りの問題。眠ろうとしてもなかなか眠れない
- 中途覚醒 … 眠りの長さの問題。一度眠った後に、夜中に目が覚める
- 早朝覚醒 … 眠りの長さの問題。朝早くに目覚めて、その後眠れない
入眠障害は寝付けない状態、中途覚醒と早朝覚醒は長さの差こそあれ、睡眠が思うように続かなく、途中で目覚めてしまう状態です。
それに加え、眠りの深度に関係する熟眠障害があります。
- 熟眠障害 … 眠りの深さの問題。眠りが浅く起きた時にすっきり感がない
不眠症の原因、眠れない原因
眠れなかった日の翌日、どうして昨日の夜は眠れなかったかな、と思ったりしないでしょうか(私はします)。
眠れない原因になることをリストアップします。
- 生活習慣 … 夜間にカフェイン、深夜に運動、高い温度のお風呂、など興奮につながること。ほか、不規則な睡眠も。
- ストレス … 生活上のプレッシャーおよび、それを感じたときの感覚。精神的なものの他、寒さ熱さなど生体的なストレスも。
- 不安 … 眠れないと次の日に差し支えないか、などの過度の不安。
- 身体疾患 … 心疾患、肺疾患、筋肉・骨の病気、慢性痛など。
- 精神障害 … 気分障害、不安症、物質乱用など。
生活習慣は、正しく理解できれば自分で修正していくことが可能です。
ストレスは、自分にとってのストレス緩和の方法を見つけることが解決に向かう一歩になります。
不安は、眠りに対して理解することで少し心が楽になるかもしれません。
身体疾患・精神障害は、専門の医師に相談し、その不眠の原因となっている疾患の治療をしましょう。
東洋医学的に不眠を考えると
東洋医学では人体において生理機能を持つ五つの内臓(肝・心・脾・肺・腎)を「五臓」と呼び、この中の生命の活動の根源である「心」が睡眠をつかさどります。
「心」は熱に弱い。熱せられての不眠。
「心」というものは陰陽の陽の気で全身を温める働きがあり、それ自体が熱くなりやすいのですが、熱さを嫌うという性質を持ちます。
「心」がなんらかの事情で熱せられると、血を送り出す機能や、精神や意識などを運営する機能に異常をきたして、不眠が症状が起こります。
なんらかの事情、というのは、ストレスや、消化しきれない飲食物などです。
「心」を潤す力や栄養分が足りない場合の不眠。
潤いや栄養分を運ぶ血が不足すると、「心」が本来持つ陽の性質が冷やされず相対的に熱が強くなり、不眠症状が起こります。
潤いや血が不足する原因は、加齢や、刺激物やアルコールなどの飲食、消化機能の低下などです。
鍼灸がサポートできる不眠
不眠症の症状である身体(特に頭〜首・肩)の緊張を取ることや、自律神経の調整などに鍼灸が有効です。
- 疾患がない不眠
- 疾患がある方については通院と並行して
- 慢性痛があるにも関わらず、病院の検査の結果、問題が見つからない場合
今日の内容からわかったこと
不眠症の分類には、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害がある
→ 眠りの長さ・深さで、分類されている。
眠れない原因は、多種多様
→ 原因によっては自分で修正可能なことがあるし、専門医の助けが必要な場合もある。
東洋医学では「心」の不調が不眠を引き起こすと考える
→ 生活習慣の修正、専門医の助けが必要な不眠以外は、東洋医学(鍼灸や漢方)で対応可能。